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<インタビュー>キャリアを追求するすべての人へ!サッカー元日本代表、玉田圭司さんに学ぶ「仕事を楽しむ秘訣」とは

リード

2021年のシーズンで引退するまで、Jリーグで23年もの長いキャリアを築き上げた玉田圭司(たまだ·けいじ)さん。日本代表としてワールドカップの舞台で戦ったほか、J1では通算366試合に出場し、99ゴールをあげるという輝かしき成績を残しました。日本サッカー界を牽引した玉田さんはいかに自分を奮い立たせ、夢を手繰り寄せたのか―—。

玉田さんの軌跡やマインド、思い描くこれからの未来に迫る全3回のインタビュー企画。第1回となる今回は、20年以上の長いサッカー人生を振り返りながら、“仕事を楽しみ前進し続ける秘訣”を教えていただきます。玉田さんのマインドは、キャリアを追求するすべての働く人々のヒントになるはずです。

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コラムサマリ
  • 「負けず嫌いでプラス思考」を武器に、自分らしさを貫いた。
  • 日本代表として戦った日々が、さらに自分を強く前進させた。
  • 「トラウマを消し去れるのは自分だけ」。挑戦することでしか、成功は得られない。
本文

「負けず嫌いでプラス思考」を武器に、自分らしさを貫いた。

20年以上もの間、キャリアを追求することは容易ではないですよね。まずは、サッカーを長年続けられた秘訣から教えてください。

玉田圭司さん(以下、玉田):キャリアを追求というよりは、自分には“サッカーしかなかった”というのが正直な感覚ですね。小さな足ではじめてボールを蹴った日からこれまで、サッカー以上に好きなことが見つからなくて。とにかく楽しくて、夢中でボールを追いかけるうちに運良くプロになれた人間なんです。現役時代も今も、仕事とはいいつつも趣味の一環として楽しんでいるだけなので実はたいそうなことを言えない(笑)。

実は、プロになったあとも細かな目標を設定したことがなくて。「何歳まで現役でいたい」「どこでプレーしたい」というよりは、自分が成長できるよう、目先の目標をコツコツこなして研鑽する日々でした。大きな目標を立てることも大切ですが、自分の強みを磨きながら着実に先へと進んでいったことが長く続けられた秘訣かもしれません。

これまでの人生で挫折されたことは?

玉田:挫折かぁ……ないですね。もちろん苦労した経験もありますし、周囲から“それは挫折だよ”と思われることもありましたが、自分のなかでは挫折という意識ではなくて……。プロになったばかりのころ試合に出られない時期が続きましたが、それは「フィジカルを鍛えられた期間」でしたし、大きな大会のメンバーに選出されなかったときは「次の大会では全力をぶつけられるぞ!」と。

負けず嫌い×プラス思考という性分なので、常に前向きな気持ちだけは捨てずにいました。プロスポーツ選手向きの性格だと言われますが、「負けず嫌い」ってどんな仕事においても必要な要素だと思います。

自信が揺らいだことはなかったのでしょうか。

玉田:もともとスピードが売りだったこともあり、周囲から「スピード型だから長続きしないだろうね」と声をかけられたことも。相手にとっては何気ない一言だったと思うのですが、当時の自分には強烈に刺さったんですよね。でもその言葉が大きなモチベーションにもなりましたし、自分の新しい強みや可能性を探るきっかけにもなりました。すでに持っている強みに固執するのではなく、新しいスキルを取り入れてさらなる強みへと昇華させていくことが、成長し続ける秘訣になると思います。

仕事を楽しめない方もいると思いますが、玉田さんのように前向きにキャリアを追求するためにはなにが必要になるのでしょうか。

玉田:読者の方のなかに、まったく好きではない仕事に就いた方もいるんでしょうか?

(周囲が頷く様子を見て) うん、いるのかな。何事においても続けることは難しいですが、とにかく「楽しむこと」が大切ですね。仕事だから楽しめないと思われるかもしれませんが、なにかを得て視野が広がること、学びや疑問に対して自分の思いを発信すること、第三者の視点を知ることって、仕事をするうえでのある種の楽しみや喜びになるはず。ただ時間が過ぎればいいと思うのではなく、ぜひ“自分の思い”を相手に伝える努力をしてみてください。
積極的にコミュニケーションをとっていくと、相手も発信してくれるようになるものです。互いの歩み寄りをきっかけに、新しい視点でなにかを生み出せるのが理想ですね。

日本代表として戦った日々が、さらに自分を強く前進させた。

日本代表としてプレーするなかで、プレッシャーを感じることもあったと思います。マイナスな感情とどう向き合っていましたか?

玉田:プレッシャーを感じるあまり、自分らしいプレーができずに悩んだ経験もありました。いくら楽しもうと思っても、「こうなったらどうしよう」「失敗したら嫌だな」なんてネガティブな思考が頭を巡ってしまうんです。そんな自分が変わったのは、はじめて日本代表としてワールドカップ(2006年 FIFAワールドカップドイツ)に出場してから。自国民からの期待や大きなプレッシャーと常に対峙している他国のスター選手たちに囲まれたとき、ごちゃごちゃだった脳内がスーッとクリアになったんです。

それはなぜ?

玉田:当たり前のことですが、自分が憧れている名選手もミスするし、緊張しているんですよ。それを見たときに「あの選手だってミスしているのに、自分はなにを恐れていたんだろう」「失敗したあとに修正すればいいんだ」と気付いて、ハッとして。あの日からミスを恐れず挑戦する気持ち、そして“挑戦の先”までを思い描けるようになりました。挑戦するとミスをする回数も増えますが、失敗しないと成長もないですから。

「トラウマを消し去れるのは自分だけ」。挑戦することでしか、成功は得られない。

失敗してしまったときはどう乗り越えますか?

玉田:たとえば大事な場面でPKを外したとき、周囲がダメだと止めても、僕は絶対次の試合でも蹴りに行きます(笑)! もう失敗したくない=蹴りたくないではなく、前回の失敗を克服するために次こそは成功させようと思うタイプ。失敗は宝というか、トラウマを消し去って自分を成長させるためには、“同じこと”で成功体験を得るしかないと思うんです。

どの仕事においても失敗すること、そして誰かの失敗を目の当たりにすることってありますよね。そんなときはどう向き合うべきでしょうか。

玉田:誰かが失敗したとき、もう一度挑戦できる環境を作ってあげるのも周囲の役割のひとつ。「ミスした相手にあえてもう一度頼む」「君なら次はできるよ、と声がけしてあげる」など、些細な言動が相手の背中を押すはずです。自分が失敗したときも同様で、周囲を巻き込みながらひとりで抱えないようにすることが大切ですね。自分だけで解決しようと殻に閉じこもるのではなく、周りと一緒に解決する流れに持っていったほうが良い結果を生むと思います。

僕自身も試合で大きな失敗をしたあとはひとりで落ち込むのではなく、チームメイトやコーチ陣と「なぜこうなったのか」を話すようにしていました。激しく思いをぶつけ合うこともありましたが、それはけっして悪いことではなくて。その瞬間は感情的になったとしても、互いにストレートな意見をぶつけることで心を開くきっかけにもなります。

相手と心を通わせるには、まずは自分からコミュニケーションをとることが重要なポイント。「自分が心を開く→相手も意見をくれる→新しい気付きを得る」を繰り返すことで、失敗をも成長の糧にできるはずです。

お話を聞くと、周囲から多くの学びを得ている様子がうかがえます。意識して周りを見ているのでしょうか?

玉田:言われてみれば……うん、たしかによく「人」を見ていますね。サッカーが好きだからというのはもちろん、日ごろからほかの人がどう考えているのかを推察しています。とはいえ、相手の考えや意見を聞き入れるのかは自分で判断してオーケー。ただ相手の思考をコピーするのではなく、学んだことを咀嚼して、自分の考えに落とし込んで、自分流にアップデートすることが大切だと思っています。


取材/佐々木悠

構成·文/山本杏奈

写真/竹田靖弘

この記事の執筆協力

執筆者名

お話いただいた人:玉田圭司

執筆者プロフィール

1980年4月11日生まれ。身長173cm。ポジションFW。習志野高校を卒業後、柏レイソル(1999-2005)に入団。名古屋グランパス(2006-2014)、セレッソ大阪(2015-2016)、名古屋グランパス (2017-2018) 、V·ファーレン長崎 (2019-2021)にてプレーし、2021シーズンに引退。現在は Vファーレン長崎アンバサダー兼アカデミーロールモデルコーチを務めるほか、サッカー解説など多方面に活躍する。

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    コーチングするうえでなにより大切になるのは、子どもたち一人ひとりに目を向け、“褒めたあと”の反応を見ることだそう。玉田さんのコーチング術は、チームビルディングや職場でのコーチングにも応用できるはずです。