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乳がん検診受けてみた!何年おき?自宅でのセルフチェックもできる?
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近年、発症率が高まっている「乳がん」。患者数はここ30年で約5倍まで増加しており、現在では9人の1人が罹るがんとして知られています。そんな乳がんを早期発見するためには、セルフチェックだけでなく「乳がん検診」を受けることが重要ですが、忙しさや費用面、マンモグラフィーの痛みなど、さまざまな理由から受けることを躊躇してしまう女性も少なくありません。そこで今回は、筆者の“人生初”となる乳がん検診を詳しくレポート!検診の内容や受診時に感じたこと、乳がん検診のメリット、セルフチェックの方法まで幅広くご紹介します。
- コラムサマリ
-この記事のまとめ
1. 乳がんの罹患が増えている背景
1-1. 初潮の低年齢化、閉経の高齢化によるエストロゲン分泌量の増加
1-2. 肥満によるエストロゲン分泌量の増加
2.会社に所属している人が受ける「健康診断」の項目
2-1. 企業健診の必須項目
2-2. 特定健康診査の項目
3. 「乳がん検診·子宮ガン検診」は自己負担が原則
3-1. 乳がん、子宮頸がんの自治体検診
3-2. ライター本間のリアルボイス
4. 乳がん検診を受ける前に。乳がんを受けるべき年齢&メリット
4-1. 乳がん検診を受けるメリット
4-2. 乳がん検診を受けるデメリット
5. 実際に乳がん検診を受けてみた
6. 乳がんは自分でも見つけられる?セルフチェックしてみよう!
6-1. セルフチェックのやり方
7. 2年に1回の乳がん検診で、自分を守ろう
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乳がんの罹患が増えている背景
女性が罹るがんの第一位である「乳がん」。近年の罹患率上昇は著しく、20~30代の若い世代でも発症しています。では、なぜいま乳がんが増加しているのでしょうか。
初潮の低年齢化、閉経の高齢化によるエストロゲン分泌量の増加
乳がんの決定的な原因は明らかになっていませんが、大きく関わっているのが女性ホルモンの1種で卵巣から分泌される「エストロゲン(卵胞ホルモン)」です。食生活の欧米化や環境などにより初潮の年齢が低くなったり、閉経が遅くなったりしていることでエストロゲンの分泌量が増加。人生を通しての月経期間が伸びることでエストロゲンの総分泌量も増え、結果的に乳がんリスクが高まっているのです。
\エストロゲンってどんなホルモン?/
エストロゲンは卵巣で分泌されるホルモンで、女性らしい体づくりをサポートする役割をもちます。髪や肌に潤いを与えたり丈夫な骨を維持したりするだけでなく、コレステロール値の調整や動脈硬化の予防など健康を維持するためにも重要なホルモンです。毎月の生理や妊娠・出産、そして閉経まで、女性の体に長く関わります。
肥満によるエストロゲン分泌量の増加
実は、肥満による皮下脂肪の増加もエストロゲンを分泌させるひとつの理由。とくに、更年期や閉経によるホルモンバランスの急激な変化によって肥満になりやすい、40代後半~60代は注意が必要となります。過度なアルコール摂取や脂肪分の多い食事を控え、適度な運動を心がけましょう。
会社に所属している人が受ける「健康診断」の項目
企業に所属していると、年に一度の健康診断を受けるのが一般的。「いつも異常がないから大丈夫」「健康診断を受けていたら十分でしょ」と思っている女性も多いですが、実は健康診断で分かるのはごくわずかな異常だけ。高血圧や糖尿病、脂質異常症、肝機能障害などは発見されやすい一方で、初期の胃がんや大腸がん、乳がん、膵臓がんなどは企業健診の検査では分かりづらいと言われています。
企業健診の必須項目
·既往歴及び業務歴の調査
·自覚症状及び他覚症状の有無の検査
·身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
·胸部エックス線検査及び喀痰検査
·血圧の測定
·貧血検査(血色素量、赤血球数)
·肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
·血中脂質検査(LDL·HDLコレステロール、TG)
·血糖検査
·尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
·心電図検査
特定健康診査の項目
すべての年代で検査する「企業健診」と違い、実施年度中に40~75歳に達する加入者が対象となる「特定健康診査」もあります。該当年代での罹患率が高い脂質検査や血糖検査が盛り込まれています。
·質問票(服薬歴、喫煙歴など)
·身体計測(身長、体重、BMI、腹囲)
·理学的検査(身体診察)
·血圧測定
·血液検査
·脂質検査(中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール)
·血糖検査(空腹時血糖又はHbA1c)
·肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
·検尿(尿糖、尿蛋白)
上記のとおり、企業健診だけでは全身の異常をくまなく発見することはできません。とくに、女性ならではのがんは自覚症状が出づらく、発見が難しいもの。“プラスα”として検診を追加し、自分の体をチェックしていきましょう。
「乳がん検診・子宮頸がん検診」は自己負担が原則
乳がん検診から足が遠のく理由のひとつが、費用面の問題ではないでしょうか。乳がん検診の受診方法は、大きく①レディースクリニックや総合病院での検診、②企業健診のオプション追加自治体のがん検診の3つに分けられます。
②は企業健診と一緒に受けられるメリットがありますが、検査項目が限られているうえに全額自己負担となるのが一般的。
③は比較的安価にがん検診を受けられますが、対象年齢や検査項目、受けられる医療施設が限定されるというデメリットも。また、個人的な発症リスクまでは考慮されていないため、「がん家系だから若いうちから検診を受けたい」「卵巣嚢腫があるから、子宮・卵巣のがん検診を定期的に受けたい」といったニーズに対応するのは難しいのが現状です。乳がん、子宮頸がんの自治体検診
<乳がん検診>
検査内容:問診および乳房エックス線検査(マンモグラフィー)
対象年齢:40歳以上
受診間隔:2年に1度
<子宮頸がん検診>
検査内容:問診、視診、子宮頸部の細胞診および内診
対象年齢:20歳以上
受診間隔:2年に1度
☆ライター本間のリアルボイス☆
32歳で卵巣嚢腫の発見·摘出後、33歳で出産を経験しました。悪性診断は全体の1割程度ですが、卵巣嚢腫は再発する可能性が非常に高い病気です。また、がん家系であることも影響し、子宮や卵巣、乳房といった女性ならではのがんへの不安を常々抱えていました。
乳がん検診を受ける前に。乳がんを受けるべき年齢&メリット
がんと聞くと、比較的年齢層の高い世代が罹る病気のように感じますが、実は「女性ならではのがん」に関しては若いうちから発症リスクが高いと言われています。実際に日本乳癌学会の報告によると、日本における乳がんの最年少罹患年齢はなんと16歳。初潮を迎え、乳腺が発達したすべての女性に罹患の可能性がある病気なのです。
乳がん検診を受けるメリット
女性特有のがんは、早期の段階では自覚症状が出づらいことも問題のひとつ。検診で詳しく調べなければ発見できないケースが多く、発見が遅れてしまうと他の臓器やリンパ節への転移、治療の選択肢が狭まるといったデメリットが生じます。乳がん検診による早期発見には治療開始時期を早めるだけでなく、乳房の温存や治療期間短縮といったメリットもあるのです。
乳がん検診を受けるデメリット
乳がん検診には、石灰化した乳がんや小さなしこりを発見しやすい「マンモグラフィー」と、しこりの良悪性を判断できる「エコー検査(超音波検査)」の2種類があります。一般的に乳がん検診と聞いてイメージされるのは、バストを機械に挟むマンモグラフィーのほうではないでしょうか。
がんの判断精度が非常に高いマンモグラフィーは、実際に死亡率減少効果も証明されている検査法ですが、一方で放射線による少量の被ばくや乳房を挟むことによる痛み(個人差あり)といったデメリットも。しかし、マンモグラフィー時の被ばく量は、東京-ニューヨーク間を飛行機で往復したときの自然放射線量とほぼ同じと言われています。人体への影響はほとんどなく、過剰に心配する必要はありません。
実際に乳がん検診を受けてみた!
今回は、以前から気になっていた「乳がん検診」をライター自らが実際に受けてみました。
受けたのは、乳房をX線で撮影する「マンモグラフィー検査」。触診+エコー検査もありましたが、年齢や検診頻度(はじめての検診であること)を考慮して、マンモグラフィー検査を選びました。
はじめての検診ということで緊張していましたが、院内に女性しかいなかったので一安心。専用着に着替えたあと、専用の部屋に入ります。上半身は裸になり、バストを縦向きと横向きの2方向に挟んで撮影します。痛いと聞いていましたが、思ったよりも痛みは気になりませんでした。スタッフの方いわく、年齢や大きさによって痛みに個人差が出るとのこと。
脇のリンパも見るために脇側から縦方向に挟んで、撮影は終了。所用時間はわずか5分ほどでした。思った以上にスムーズで驚き!撮影後に医師による説明を受ければ、すべて終了となります。
乳がんは自分でも見つけられる?セルフチェックしてみよう!
子宮頸がんや卵巣がんなどと異なり、乳がんはセルフチェックで発見しやすい病気です。異変をすぐに感じ取れるよう、常日頃から乳房の状態を確認する習慣を身につけましょう。セルフチェックの目安は、月に1~2度。うっかり忘れを防ぐためにも、「毎月1日の夜に」「給料日の25日に」といったように実施日を決めておくとよいでしょう。
セルフチェックのやり方
1. 立った状態と仰向けの状態の2パターンでチェックを行います。
2. 親指以外の4本の指を揃え、乳首と乳輪の周囲を円を描くように触っていきましょう。
3. 次に、乳房全体に縦横の平行線をいれていきます。横に4本、縦に4本の線を引くように触れてください。
4. 最後に、親指と人差し指を使って乳首や乳輪を優しく摘みます。何度が摘まむと離すを繰り返して、乳頭から分泌物が出ないかをチェックしてください。
2年に1回の乳がん検診で、自分を守ろう
若い世代の女性こそ定期的な検査がマスト!「乳がんは怖いけど、まだ若いから大丈夫かな」「検診を受けたいけど、子育てや仕事で忙しくて」と二の足を踏むのではなく、早期発見&早期治療のために、少なくとも2年に1回は乳がんを受けるようにしましょう。また、自宅でのセルフチェックも乳がんの発症·進行を予防する習慣のひとつ。しこりやへこみ、分泌液がないかを毎月チェックしてみましょう。
この記事の執筆協力
- 執筆者名
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山本杏奈
- 執筆者プロフィール
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金融機関勤務を経て、フリーライター/編集者に転身。現在は企業パンフレットや商業誌の執筆・編集、採用ページのブランディング、ウェブ媒体のディレクションなど、幅広く担当している。
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